外資系ホテル業界の求人
ここでは、外資系ホテル業界への転職をお考えの方に向けて、外資ホテル業界の特徴やメリット・デメリット・代表的な職種、企業などについてご紹介していきます。興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
外資系ホテル業界の転職市場動向
1990年代以降、日本には外資系ホテルの進出が相次いでいます。1990年代の第1次ラッシュ、2000年代の第2次ラッシュ、そして、2011年に起きた震災による訪日外国人観光客の減少も2013年には完全に回復しました。
景気上昇局面とも重なり、2013年以降は本格的な第3次ラッシュが起こると考えられています。
外資系ホテルが日本進出を積極的に行うのには、いくつかの背景があります。
1990年のバブル崩壊以降、
- 東京の建設コストが非常に安くなったこと
- 都心の再開発プロジェクトにおいて、再開発エリアのブランド価値向上、ランドマーク的存在として外資系ホテルが積極的に誘致されたこと
- 政府の積極的な外国人観光客誘致施策により、訪日外国人観光客は順調に増えていること
- 東京は主要先進国と比較してメジャーブランドのホテル数が少ないこと
など様々な要因が重なり、外資系ホテルは日本へこぞって進出してきました。
また、これは業界関係者以外にはあまり知られていませんが、ホテル業界はホテルの所有者・経営者・運営者の三者で役割が分かれています。
日本の老舗ホテルはこれらが全て同一であることが多いのですが、外資系ホテルが進出する際は、所有・経営は日本の不動産会社が担い、外資系企業は運営者として運営委託方式やリース方式でブランドだけを展開するので、リスクを限定して進出することが可能となっています。こうした仕組みも外資系ホテルの進出を後押ししています。
2007年にはザ・リッツカールトン東京、コンラッド東京、ザ・ペニンシュラ東京、フォーシーズンズホテル丸の内東京、グランドハイアット東京など外資系ラグジュアリーホテルの東京進出が相次ぎ、国内の老舗ホテル勢がどのように対抗するか、「ホテル2007年問題」とも言われました。
2013年以降、震災からの復興、景気回復、円安など好条件が重なり、外国人観光客が増加することから、都心の再開発計画とセットで再び外資系ホテルの進出がヒートアップしています。
この進出ラッシュに伴い今後、外資系ホテルの客室数がますます増えることから、更に求人需要が発生することが予想されます。
また、政府が経済対策の主要な柱として観光ビジネスに非常に力を入れていることから、今後も長期的に外国人観光客は増加し続けると考えられますので、強力なグローバル予約ネットワークとロイヤリティ会員を持つ外資系ラグジュアリーホテルは、今後も日本市場への攻勢を強めてくると考えられ、様々なポジションで求人の需要が生まれると考えられます。
外資系ホテル業界への転職をお考えの方は、これからの時期が動くチャンスだと言えそうです。
外資系ホテル業界の特徴
外資系ホテル業界の主な特徴としては、下記が挙げられます。
- ハイエンドな顧客層が中心
- 日本進出のタイミングで転職市場が大きく動く
- スタッフクラスは契約社員の求人も多い
ハイエンドな顧客層が中心
日本に進出してくる外資系ホテルのほとんどはラグジュアリーブランドで、客室の価格帯は日系の高級ホテルよりワンランク高めです。そのため、ハイエンドな顧客層がメインとなり、必然的に高いサービスレベルが求められます。求められるサービスやホスピタリティの質はサービス業の中でもトップクラスだと言えるでしょう。
日本進出のタイミングで転職市場が大きく動く
また、外資系ホテル業界の求人市場は、大手外資ラグジュアリーブランドが日本に進出する際に大きく動きます。
ホテルの新規進出に伴い現地スタッフの採用ニーズが生まれることはもちろん、進出時に競合他社からの人材引き抜きが起こることで既に進出しているホテルの要職に欠員が出ることもありますし、社員が自主的に転職を検討することもあります。
ホテルの経営クラスはグループ内から派遣されてくることが多いのですが、その下の支配人・マネジャークラスであればヘッドハンティングやスカウト、売り込みなどでポジションが埋まっていくケースも多く、基本的に採用活動は水面下で進んでいくため、いち早く情報を手にするためにもスカウトサービスや転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。
スタッフクラスは契約社員の求人も多い
そして、これはサービス業全般に当てはまることでありますが、ホテル業界の場合、スタッフクラスの求人は契約社員の比率が高くなります。但し、正社員登用もありますし、外資系ホテルの場合は仮に正社員だったとしても評価次第では解雇リスクもありますので、大事なのは雇用形態よりも、入社後にいかに高いパフォーマンスを発揮して評価を高めるか、という点になるでしょう。
外資系ホテル業界の魅力
外資系ホテル業界で働く主な魅力としては、下記が挙げられます。
- 最高級のサービス・ホスピタリティマネジメントが学べる
- 転職時の「箔」がつく
- 日系ホテルと比較すると給与は高め
- 英語力を活かした仕事ができる
- 海外のグループホテルへ勤務するチャンスも
最高級のサービス・ホスピタリティマネジメントが学べる
ホテル業界は接客・サービス・ホスピタリティ・コミュニケーションといった分野のスキルを学ぶ上では大変魅力的な業界ですが、その中でも外資系ホテルのカスタマーサービスレベルが非常に高く、あらゆるノウハウが体系化されているため、学べることは非常に多いでしょう。
転職時の「箔」がつく
また、一流の外資系ホテルで勤務していたいという経歴は、転職時にも有利に働きます。業界内で転職する際もそうですが、マーケティングやセールスなど専門性を活かして他業界へ転職する際にも強力なブランドとなります。
日系ホテルと比較すると給与は高め
更に、外資系ホテルは日系のホテルと比較して総じて給与が高めである点も魅力です。
フロントオフィスマネジャー、マーケティングマネジャーなど、マネジャークラスの求人であれば800万~1000万円以上の求人も珍しくありません。
英語力を活かした仕事ができる
そして、ホテル業界で働く場合は職種に関わらず英語力は重要ですが、特に外資系ホテルの場合は外国人観光客の宿泊率も高いため、実際に英語を使用する場面が多く、語学力を活かして働きたいと言う方にとってもおすすめです。
海外のグループホテルへ勤務するチャンスも
語学力と評価、そして本人の意思があれば、海外に展開しているグループホテルへ勤務するチャンスもあります。海外では日本以上にホテルマンの地位が高く、サービスも高いレベルが求められますが、業界内でキャリアアップしていきたい方にとっては非常に魅力的なキャリアだと言えるでしょう。
外資系ホテル業界のデメリット
次に、外資系ホテル業界で働くことのデメリットについてもご紹介していきます。ぜひ良い面だけではなく悪い面もしっかりと理解した上で転職するかどうかを検討しましょう。
- 日系ホテルと比較して雇用リスクは高い
- イメージと現実とのギャップに悩むケースも
- 昇進できる人材は一握り
日系ホテルと比較して雇用リスクは高い
外資系ホテルは、日系のホテルと比較すると雇用リスクは高いと言えます。セールス・マーケティングセクションやマネジメントポジションなど数字を扱うポジションであれば、期待する成果を出すことができなければ短期間で解雇されることも珍しくありません。
イメージと現実とのギャップに悩むケースも
また、外資系ホテルというとどうしてもラグジュアリーで洗練された華やかなイメージが先行しがちなのですが、顧客の視点から見る外資系ホテルと、運営側から見る外資系ホテルとの間には大きな隔たりがあります。
最高峰のカスタマーサービスが提供できる背景には非常に厳しいマネジメントシステムが存在していますし、顧客から見えない部分では華やかなイメージとは真逆の仕事も数多いのです。
昇進できる人材は一握り
そして、外資系ホテルにおいてマネジメントポジションにつける人材はごく一握りだという点もデメリットとして挙げられます。
ホテル業界は専門性が高い業界なので、優秀な人材の業界内での引き抜き合いは激しく、マネジメントクラスが競合他社からスライドしてくるケースも珍しくありません。
また、経営クラスに近いポジションともなれば海外にある同系列グループのホテルで非常に優秀なマネジメントをしているスタッフが派遣されてくるケースもよくあり、外資系ホテルにおける出世競争はグローバル規模で行われるのです。
最初からマネジメントポジションで転職する場合は別ですが、スタッフクラスから転職をする場合は、入社後どのようにキャリアを築いていくことができるか、過去の事例も含めてしっかりと検討した上で転職するかどうかを決めるのがよいでしょう。
代表的な職種
外資系ホテル業界における代表的な職種としては、下記が挙げられます。
サービス系
セールス・マーケティング系
管理部門系
ホテルにはフロント部門からバックオフィスまで幅広い職種が存在しており、外資系ホテルは各部門で専門職スペシャリストを募集しています。特にセールス・マーケティング関連の求人は人気が高く、競争倍率も高い傾向があります。
代表的な企業
ここでは、就職先・転職先として特に人気が高い外資系ホテルを挙げます。
- アコーホテルズ(ソフィテル/プルマン/ノボテル/メルキュール/イビスなど)
- インターコンチネンタルホテルズグループ(インターコンチネンタル/クラウンプラザ など)
- スターウッド・ホテル&リゾーツ・ワールドワイド(セントレジス/ダブリュー・ホテル/ウェスティン/ル・メリディアン/シェラトンなど)
- ハイアットホテルアンドリゾーツ(パークハイアット/グランドハイアット/ハイアットリージェンシーなど)
- フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツ
- 香港&上海ホテルズ(ペニンシュラ)
- マリオット・インターナショナル
- ザ・リッツ・カールトン
- マンダリン・オリエンタルホテルグループ
- ラッフルズ・ホテル・アンド・リゾーツ
- シャングリ・ラ・ホテルズ&リゾーツ
ザ・リッツ・カールトンはマリオット・インターナショナルのブランドの一つですが、従来のマリオット・インターナショナルに属している他ブランドとは一線を画した運営を行っているため、別に記載しています。
欧米系の企業だけではなく、ペニンシュラやシャングリ・ラ・ホテルズ&リゾーツなどアジア系の企業も人気があるのが外資系ホテル業界の特徴です。
こんな方におすすめ
下記にあてはまる方は、外資系ホテル業界で働くのがおすすめです。
- 一流のサービス・マネジメント・マーケティングを学びたい
- 語学力を活かして働きたい
- 将来的に海外転職も視野に入れたい
外資系ホテルはホスピタリティに溢れたサービスを提供するノウハウがとても体系化されており、セールスやマーケティング戦略、ブランド戦略なども非常に優れた企業が多いのが特徴です。
これらの分野で専門性を身につけキャリアアップをしていきたい方には非常におすすめです。
また、外資系企業の中でも入社後に語学力を生かすチャンスはほとんどない企業も多いのですが、ホテルのフロント部門であれば必然的に英語を使用する機会も多く、語学力を活かして働きたい方にはおすすめです。
そして、外資系ホテルで勤務経験を積んだ後、ゆくゆくは海外のホテルで働いてみたいという方にもおすすめです。同系列グループの海外ホテルへと異動できる可能性もありますし、海外転職することも可能です。
外資系保険会社への転職を成功させるポイント
外資系ホテル業界への転職を成功させる上で意識しておきたい主なポイントは下記となります。
- 最新の求人情報は逃さない
- イメージではなくホテルと仕事の中身を理解する
- 積極的なアピールが重要
外資系ホテルへの転職を成功させる上で重要なのは、発生する求人ニーズを逃さない、ということです。
マネジャークラス以上の求人ともなれば基本的にはほとんどが転職エージェントを経由した非公開求人が、業界内のスカウト、知人経由の採用となり、そもそも求人情報に対して高いアンテナを張り巡らせていないと、入社するチャンスすら掴むことができません。
また、外資系ホテルの中には、企画部門や事業開発部門、管理部門などフロント以外の部門ではあえて異業界の経験者を募集するケースもあります。異業界からホテル業界への転職を考えている方はぜひそうした求人のチャンスも逃さないようにしましょう。
そして、入社するかどうかはイメージ先行で決めるのではなく、ホテルの実際の姿と仕事の中身をきちんと把握した上で決めるようにしましょう。
他にも、外資系ホテルの場合は採用も待遇もアピールと交渉次第で決まるということが良くあります。過去にどのような実績を出してきたのか、その力を活かして具体的にどのような貢献ができるのか、について積極的にアピールすることが採用や待遇向上につながります。
外資系ホテル業界に強い転職エージェント
外資系ホテル業界は転職先として非常に人気が高く、一部フロントスタッフを除くほとんどの求人は非公開求人という形式で、水面下で行われています。
特に、転職エージェントが扱っている求人としては、マネジャー、支配人クラスの求人が目立ちます。
求人数自体もそこまで多くありませんし、時期によっても大きく異なるので、外資系ホテルへの転職をお考えの方は、まず転職エージェントに登録した上で求人が発生したらすぐに紹介してもらう体制を整えておくことが重要です。
外資系ホテルの求人に強い転職エージェントとしては、下記が挙げられます。
いずれも海外にも拠点展開をしているグローバル転職エージェントで、外資系企業とは強いパイプを持っています。これらの転職エージェントは日本進出の検討段階など、非常に早いタイミングから採用プロジェクトの相談を受けていることも多く、メンバークラスからマネジャークラスまで一貫して採用を請け負っているケースもあります。
なかなか外からは分かりづらい実際のホテルの内情についても情報を提供してくれますので、ぜひ上記の転職エージェントを上手に活用しながら外資系ホテルへの切符を勝ち取りましょう。